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無実の逮捕勾留と補償
Q
無実なのに逮捕勾留された場合に何か補償がありますか?
A
刑事補償法による補償
まず、憲法第40条には
「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる」
と規定されており、
この規定をうけて、刑事補償法第4条1項は、
逮捕勾留1日あたり、1000円以上12,500円以下の割合による補償金を交付する旨、規定しています。
しかし、この対象は、起訴されて無罪判決を得た人が、逮捕勾留されていた場合のみです。
被疑者補償規程による補償
被疑者補償規程の対象は、刑事補償法では補償できない場合、
つまり、逮捕後、起訴される前に無実であることが明らかになり釈放された場合です。
刑事補償規程第2条には
「検察官は、被疑者として抑留又は拘禁を受けた者につき、公訴を提起しない処分があった場合において、その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるときは、抑留又は拘禁による補償をするものとする」
と定められており、
補償される金額の基準は、刑事補償法と同額とされている。
しかし、この被疑者補償規程は、法務省訓令という行政機関の内部規程であって、補償されるか否かは、検察官の裁量によって決定されます。
刑事補償法の規定のように憲法に基づいている権利ではないので、検察官が補償しないと決定すれば、その被疑者は刑事補償規程による補償を受けることができません。
国家賠償法による補償
上記2つの他には、国家賠償法による補償を求めることが考えられます。
国家賠償法第1条1項には、
「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」
と定められているので、
逮捕後無罪判決を得た場合・逮捕後起訴されるまでに無実が明らかになり釈放された場合のいずれの場合でも国家賠償法によって補償を求めることは可能です。
しかしながら、国家賠償法によって補償を求めるためには、無実なのにもかかわらず、捜査機関の「故意又は過失によって」身柄拘束されていたことを示さなければならず、この立証が非常に厳格であるため、一般的に国家賠償法による補償は困難とされています。
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